2011/11/30

アコギ(J-45/50)の製作:ロゼットを如何に

アコースティックギターにはなぜか装飾を施したものが多い。ハイエンドになるほど顕著だ。

ロゼットや胴の縁巻き(パーフリング)に貝の象嵌(インレイ)を入れるぐらいは序の口で、ヘッドはおろか指板一面にも、それはそれは見事な刺青か蒔絵みたいな装飾を施したものがある。まさにインレイ師のデザインセンスと技の押し売り、いや腕の見せどころ。これも立派なアート分野なのだ。

もうちょっと皮肉を言わせてもらえば、例えば普段使う鍬(クワ)かツルハシの柄に漆と金銀で昇り龍の絵を描くのと等しく思える。自分が目指す「用の美」の思想からは遥か対岸の所作。さらには、人間国宝の蒔絵師が制作した弁当箱と同じで、「主客転倒」と言はずして何といふや。

ただ、こういった装飾の意味・効果も無いではない。それどころか、かのヴェルサイユ宮殿のゴテゴテがそうでなくてはならなかったのと同様で、これがあって初めて意義ある存在となる場合もある。

なので、各人の価値観に対しては敬意をはらうべきだし、また尊重すべきだと思う。これが今日の結論。

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さてこんどのギターの装飾は?
さんざん皮肉を言ってきたのとは裏腹に、ヘッドには貝でロゴを入れ、ロゼットのリングにも貝を入れることにしています。
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2011/11/27

Martin-OOO の調整(完)

前回(11/24)の続きです。

指板のフレット面をラウンドにサンディングするブロックが入荷しました。ギター製作者にはおなじみのメーカーロゴですね。”16”の刻印はラウンドの曲率半径を示します。
これにサンドペーパを貼ってスリスリすればOKです。フレットを打ってからも水研ぎペーパーを貼って均すこともできます。
また、ナットやサドルの上面ラインのケガキもこれを定規として使えます。
craftm_rs.JPG



▼こちらも同時入荷しました。フレットワイヤーのイボイボを削り取る道具です。使ってみてびっくりしました。これは☆☆☆☆☆です。
ヤスリの間に厚みゲージみたいな鉄板(8種類付属)を挟んで隙間を作って、その間にフレットワイヤーの脚を通せば「均一に」イボイボを削り落すことができます。ヤスリの上面がラウンドしているのも嬉しいです。
指板に切ったフレット溝幅を、予めこの厚みゲージで測っておいて、それを目安にします。(注:自分はイボを全部取り去ることはせず、適当に残します)

craftm_frtbb.JPG


フレットを打っているところ。写真の木槌で叩き込みます。
craftm_mtn_frt.JPG


6弦12フレットの弦高。2.5mmほど。目標どおりです。 (まだ下げる余地はあります)
craftm_mtn_sh.JPG
↑ フレット溝の隙間には黒い突き板を埋めないといけません。忘れてました。


弾きやすいです!!! よみがえりました!!!
craftm_mtn000.JPG
ついでに塗装もやりなおそうかなと思ったけど、もう時間が無いので楽しみにとっておきます。
2011/11/26

アコギ(J-45/50)の製作:ソレラと外枠(完)

組立て型(ソレラ)の腹彫り部を、定規で凹み具合を確認しながら滑らかにサンディング(円形のオービタルサンダー使用)したら、全体を塗装します。今回は目止め用のZ-POXYを塗布しました。これが乾いたら軽くサンディングして終了です。

ネックの仕込みに角度を付けるときはソレラのネックの部分を数mm落とすのですが、今回はゼロにするので削りません。弦を張った時に1°前後順反りすると見込んでいるからです。

▼外型を装着。腹彫りするとラワン層が露出しました。ものすごい板目ですね。
  ちなみに、あと0.5mmほど彫るとファルカタ材が出てきます。craftm_J450_sl5.JPG

さてお次は、トップ板とネックの工程です。

2011/11/25

アコギ(J-45/50)の製作:ソレラと外枠

アコースティックギター製作公開の始まりです。クラシックギターにはない工程がいっぱい出てきますので、どうぞお楽しみに。

製作台(ソレラといいます)と外型の製作からはじめます。
いずれも、シナのランバーコア材を使いました。

▼左の18x600x900mmの板がソレラ用 、 右の30x300x600mmが外枠用です。
  外枠は2枚重ねで作るので、薄い両面テープで予め貼り合わせておきます。
craftm_J450_sl1.JPG



▼バンドソーで切ります。外型(写真左)は墨線の約0.5mm内側を切ります。
 外枠用に切り抜いた残りのヒョウタン形は今回のベンディングマシンの型にするので無駄がありません。
craftm_J450_sl2.JPG


▼スピンドルサンダーで墨線どおりに仕上げます。回転方向に逆らう方向に材を送るのがポイントです。
craftm_J450_sl3.JPG
このあと、2つの外型をきっちりと位置合わせしてソレラに両面テープで貼った状態で、取り付け用のΦ10穴をあけます。下の写真でその穴が見えます。


▼ソレラのおなかの部分を彫ります。このギターでは、表面板のサドル位置の約20mmほどボトム寄りを最も膨らませるので、そのように、ソレラに等高線を描き込みます。今回、最大深さ=4mmとしました。
 手順は : トリマー → 四方反り鉋 → スクレーパ → サンディング → 塗装
 写真は、トリマーの加工が終わったところ。 
craftm_J450_sl4.JPG

つづきます・・・・
2011/11/24

Martin-OOO の調整

下の写真のタイムスタンプは2001‎年‎8‎月‎19‎日、そう10年前。まだ会社員でした。
当然、工房も専用の部屋もありません。屋外に簡易ワークベンチを置いての作業です。これを青空木工といいます。

このギターはマーチン社のキット(OOO-cutaway)です。キットといっても材料一式が梱包されているだけで、ほとんどゼロからの製作となります。作り方は通勤電車(京都・長岡京まで)の中で毎日分厚い本を勉強しました。

実はこのギター、クラシックギター並みかそれ以上に弦高が高くてとても弾きにくいのです。音は気に入っているのですが。
原因はネックの仕込み角度が付きすぎているためです。つまり失敗作ですね。当時の経験の無さを物語っています。

このギターの弦高調整、10年来の宿題でした。
これからお客様のアコギを作ろうとする今、ちょうど良いタイミングなので、ちょっとやってみることにしました。

きょうは、フレットを全部抜いて鉋とスクレーパで指板を削りました。指板のナット側を2mm以上薄くしてテーパーとすることによって、ネックの仕込み角を補正しました。
そして指板面のラウンド加工。半径16インチの円弧にするのですが、そのサンディングブロックは今日本に向かっているところです。

目標は、すべての弦とも2.5mm以下の弦高とすることです。10年前のギターが、期せずして恰好の教材となりました。

craftm_2001_mtn.JPG
2011/11/23

J.ラミレス1968のリペアー

久しぶりのリペアーです。1968年のラミレスですが、中にA.M.のスタンプがあるので、Antonio Martínez Ortega の作だそうです。
美しいハカランダのモデルです。

667mmと長いので、極限まで弦高を下げるのが今回の目的です。ネックの反りがないのでサドルの高さを調整すればいいのですが、もう下げしろがないのでブリッジのサドル溝を削ることにしました。

それともうひとつは、塗装です。経年でかなりの風格が出ています。これもこのギターの歴史なのですが、思い切って化粧直ししましょうということになりました。

▼きれいになりました。もう少しです。
craftm_JR_f.JPG


▼1968年といえば私は中学生でした。
craftm_JR_l.JPG
2011/11/18

ワイン木箱のチェスト:完成

塗装が上がって、ひきだしの引き手を取り付けて、ようやく完成です。
焼印板以外の主材はミズナラです。

いつものように、ひきだしの前板を枠内にピッタリと納める「インセット」方式としました。
その前板にガタつきがなくて、開け心地と閉め心地にある種の感動が・・・・というのが職人の自己満足となります。

<大きさ>
   天板      : 323mm x 566mm
   全体の高さ  : 484mm

▼枠を組んで窓の中に板をはめ込む 「かまち作り」 で作りました
 
craftm_wc_sd.JPG

▼こちら裏側にも焼印板をはめ込んでいます
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▼引き手(ミズナラ材)のクローズアップ  ひきだしの前板はウォールナット材の額縁に納めました
craftm_wc_ht.JPG

▼抽斗の中身は無垢の桐材
craftm_wc_dr.JPG

▼今回の材料 : お客様ご提供のワインの木箱
P1060357.jpg


▼おまけ : 前回お作りしたテーブル これとペアになります
P1040912.JPG


2011/11/17

アコースティックギターに手を染めます

2011年の締めくくりは、なんとアコースティックギター作りです。ぼくらの年代ではフォークギターと呼んでました。
趣味でギター作りをはじめた2000年頃にマーチン-oooのコピーを作ったことがありますが、それ以来です。

鉄弦のギターなんて作ることはないと思っていましたが、最近、このギターの依頼者や彼の知人などにいろいろな「高級アコギ」を触らせてもらって、その魅力と奥深さをあらためて(というか初めて)知りました。最もびっくりしたのは、「弾きやすさ」です。
それは決してコードをジャカジャヤカ弾くためだけのものではなくて、指(爪)で弾いてもクラシックギターに無いものをいっぱい発見しました。もちろんその逆もありますが。

ということで、思い切ってアコギ作りを引き受けることにしました。
ご要望は、GIBSONのJ-45の1950年代ものを基本としたモデルです。自分の考えもそれなりに盛り込む計画です。
意味のない装飾は極力省いて、そのコストを材料に回したというGIBSONの姿勢は私も大いに共感するものがあります。

今回、自分自身も欲しいのもあって2台を並行して作ることにしました。
さて、いかがあいなりますか。もうすぐ製作開始です。

▼図面と依頼者提供のエンスー必携の専門誌
crfam_J450_pl.JPG



2011/11/14

ワイン木箱のチェスト:塗装

水性顔料で着色するのですが、ご希望の色合いがワイン木箱の焼印や印刷の色とかぶるので、できるだけ薄い色から始めました。
数日乾かして、#600で軽くケバ取りをしてから上塗りをしました。今回の用途を考慮して上塗りにはオイルウレタンを使用しました。
2液性のウレタンなのですが、オイルと同じ塗り方ができるので薄膜塗装が可能です。仕上がりのコントロールはウエスでの拭き取り加減で行います。

さて、今年の家具モードはこれにて終了で、ぼちぼち次作のギターの準備にかかっています。
今年は、なぜかノーマルな6弦モダンギターは1台も作っていませんが、これから作るギターもそんな今年を象徴してお釣りがくるほどのシロモノです。 coming soon !

▼乾燥中。右の二つは抽斗(ひきだし)本体です。乾燥してから、楢から切り出した引き手をネジ止めすれば完成です。
craftm_wc_ct.JPG
2011/11/13

ピアノ発表会 本番

今年もいっぱい感動をもらいました。

きょうは、小さいお子さんたちもぼくみたいなおっちゃんも、みんな同じ気持ちで音楽という方舟の中で楽しくすごしました。

みなさんが演奏に集中する姿、そして奏でられる音楽、ほんとうにピュアーで美しいと感じました。

そういう自分はというと、こうして舞台に立てせていただける喜びを感じていました。

K先生、ほんとうにありがとうございました。

そして県の北端からはるばる駆け付けてくださった、マイミクの楽さんご夫妻にも感謝申し上げます。

以下の写真はその楽さんからのご提供です。

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※また機会あれば演奏もアップしたいと思っています。