2010/02/27

最近のお気に入りCD

それは北口功の新譜CD 、 LEYENDA と PALACIO の2枚です。

10台の歴史的名器による録音なので、ギター製作者としては当然聞き逃せません。

期待どおりの内容でした。音楽が自己表現というエネルギーによって芸術に昇華しています。

中でもソルの第七幻想曲 -また新たな語り口も感じました- は自分には最高の曲です。

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同じ曲を違う楽器で弾き比べているのではないので、比較は難しいのですが

マルセロ・バルベロとフリアン・ゴメス・ラミレスとホセ・ラミレスⅠ世は楽器として特に印象に残りました。

その楽器が吸いこんできたであろう国々の空気が、我が家のスピーカーから出てきます。

どのギターにも、作者の個性が営々と入り込んでいて、やっぱりさすがだなと思います。

その強烈な個性に対して、ギタリストはいったいどういうふうに対峙したのでしょうか?

ギターは魔法の箱とおっしゃる北口さんに、こんど是非伺ってみなければと思っています。


【 曲目と使用楽器 】

LEYENDA 
  1905年 マヌエル・ラミレス  : 第七幻想曲 (ソル)
  1923年 ドミンゴ・エステソ   : アストゥリアス  (アルベニス)
  1924年 サントス・エルナンデス : 前奏曲第一番 (ヴィラ・ロボス)
  1930年 サントス・エルナンデス : 森に夢見る (バリオス)
  1936年 マルセロ・バルベロ  : テンポ・ディ・ボレアとドゥーブル(J.S.バッハBWV.1002)

PALACIO
  1882年 アントニオ・デ・トーレス  : セレナーデ (シューベルト)、アデリータ、涙 (タレガ)
  1912年 ホセ・ラミレス Ⅰ世 : トロイメライ (シューマン) 、 ディノーラ (バリオス)
  1931年 フリアン・ゴメス・ラミレス : アンダンテ・ラルゴOP.5-5(ソル)、セビーリア(アルベニス)
  1959年 マヌエル・デ・ラチーカ  : アランブラ宮殿の思い出(タレガ)、クリスマスの歌(バリオス)
  1983年 イグナシオ・フレタ・イーホス : 早春賦 、 ロンドンデリーの歌 (以上、武満徹 編曲)

2010/02/26

ウリ坊バック

裏板には縦バーが2本付きます。

以前にも触れましたがこれの役目は、縦方向ドーム形状の維持と剛性のアップです。

ギターの場合、裏板はぶよんぶよんよりはカッチリしているほうがいいと思っています。

かといって質量の増加は好ましくないと考えているので、通常より裏板の厚みを薄くして横バーの高さも半分程度にしています。

この裏板を上から見ると、あの「ウリ坊」の縞模様を思いだします。


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2010/02/24

せんたくつながりで

洗濯板の次は洗濯バサミの登場

裏板をのせるためのライニングを接着しているところです。ギター作りではよく目にします。

隙間なく挟んでるのでライニング自体は見えないですね。端っこだけかろうじて。

くだんの洗濯板はご覧の位置に納まっています。


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2010/02/22

ギター内声反射板

そう。例の洗濯板です。

いま作っているギターはこれが付くタイプです。

オーダー品なので冒険はしませんが、ほんのちょっとだけ昨年のとは寸法を変えてます。



↓ 一寸四分(42mm)のノミで三角に削ってます  材は会津桐
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↓ こちらのほうは準備OKです  この側板の内側の一部に上記の洗濯板を曲げてから貼ります
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2010/02/21

土日でも仕事でっか?

とよく言われる。

昨日と今日だけでも5回は聞いた。土日は来客が多いのだ。

「そうですねん」 とこたえる。 「フランスやったら罰せられまっせぇ」。

「そのかわり、みなさんが仕事をしてはる日に休みます」

と返す。現に月に何回かそういう日がある。

これからいい季節になるので、そういう日は間違いなく増えるだろう。

そうでなければ春に申しわけない。


体も頭も問題なく、精神的にも何の屈託もなく、

ただひたすら春を愛でることができる回数は、あと何回? と思うことがある。

この有限を、何よりも優先したい









 

2010/02/19

後で悔いるのはいや

この数分間のために何千・何万という時間を費やし、

みんなの期待を全身に背負いながら、絶対に結果を出さねばならない場面で滑る 「4回転」 を見て思った


A :  
リスクを避けて無難を選ぶのは立派な戦略 ・・・ あとで後悔してもよいという潔さが美しいし、勇気ある行動

B : 
あとで何と言われようと、リスクを承知で果敢に挑戦するのは、自己満足 or 気高く尊い?


自分みたいなものがとやかくいうのは失礼千万、
だがスケートに限ったことではないのでこの際言ってしまえば

ぼくは B しか考えない

2010/02/18

あしたは雨水(うすい)

今日、8年ぶりに雛人形を出しました。 
出してから、明日の雨水に雛人形を出すと良いご縁に恵まれると、ラジオで聞きました。
雛人形を出す日も縁起の良い日があるのだと知りました。
久しぶりに雛人形を出す心の余裕ができて、かわいい雛人形に再会でき少し幸せな気持ちになりました。

                                                         Noriko




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2010/02/15

傾斜力木の接着

昨年恐る恐る付けてみた傾斜力木(slant bar)を今回も採用した。

結果的に、音像、特に和音のかたまりみたいなものがふわっと浮き出るような感じがすると、多くの試奏者の声をいただいてる。

今回も柳の下の何とかを狙っているわけだが、もし再現されれば面白い。

ちなみに、このバーはタコ足(ファン ブレイシング)をまたいで設置されている。

のりが乾いたらバーを整形して、接着前後のスペクトルを比較してみよう。



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2010/02/13

AruHarpにトルナボス

次期ギターはトルナボスを付けようと思っている。
そこで合間をみてトルナボス(= turned voice)の資料を集めだした。

トルナボスは何故すたれたのだろうか? ロマニリョス氏の説では、
 ①リスクが高い
 ②製作も手間だし、そのギターの修理も大変
 ③奏者にはよく聞こえなくなるので精神的不安をきたす
らしい。

としながらも彼も立派なトルナボスギターを作っている。また彼の弟子のステファン(orスティーブン)・リース氏も最近トルナボスギターを公開している。
それらはいずれも木製のトルナボスを備える。
やはり良い効果を見込んでのことだろう。

さて、トルナボスってなんでしょう?
ギターという共鳴箱に筒が仕込んである → ということは 重低音を謳うバスレフスピーカー と同じ理屈のようだ。
上記ステファン・リース(実はロマニの製作講習での助手:ぼくらはスティーブと呼ぶ)のトルナボスはまさにバスレフスピーカーだ。
これなら設計は簡単だ。トルナボスの共鳴周波数は計算で求められる。ビール瓶やフルートの歌口と同じ理屈だ。

それに対しトーレスのはトルナボスの端が裏板に立てた短い棒で保持されている。つまり表と裏が結果的につながっているのだ。
これは非常に話をややこしくする。しかもトルナボスは逆ラッパ形(円錐台)ときている。
裏板と表板がつながることによって、位相の問題がでてくる。
下手をすると表板の振動を裏板がうち消してしまうこともあろうだろう。
ボックス内部の空気振動が支配的な低音域は、トルナボスをつければ増幅されるだろうが、板の振動が支配的となる音域ではまるで鳴らなくなることも有り得る。
したがって恐ろしくバランスの悪いギターとなるだろう。
ここでトルナボス自体をチューニングする必要がでてくる、と思われる。

さて、ロマニリョスのトルナボスギターはどうなっているのだろう? 裏とつながっているのだろうか?
村治佳織が弾いている動画を見てもわからない。宙に浮いているようにも見えるが。

バスレフ式のトルナボスなら簡単に工作して実験できる。
手始めにアルハープに仕込んでみた。
この楽器は対面して弾くので効果がわかりやすいからだ。

 サウンドホールの直径は84mm
 ボール紙を丸めて、表面板と接する所にコルクを巻いてフィットさせると、
 筒の内径は76mmになった
 筒を長さをいろいろ変えて試してみた。
 
 楽器の容積をCADで計算して、筒(トルナボス)の共鳴周波数を計算すると
  筒の長さ 50mm のとき 137Hz (Cis近辺の音)
  筒の長さ 30mm のとき 162Hz (Fのちょっと低目)
 この楽器の最低音はギター6弦の3フレットと同じG(98Hz)の音なので、もしこれを増幅したければ
 ①筒を長くするか 、 ②筒を細くするか、 ③楽器の容積を増やすか
 ということになる。

試奏した感じでは、
 ・なぜか全体的に音量が増した
 ・弦の振動時間が長くなった  しかしいわゆる”余韻”は短かくなった感じ
 ・音色がクリアーに(というか鋭く)なった 特にブリッジ付近で弾くと極めて顕著

ということで、なかなかおもしろい。

次は筒の材質を変えてみよう。
そう、ギターでもやってみないと。


↓ ”トルナボス付き” アルハープ
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2010/02/11

ギター響板けずり

神武天皇即位の日、表面板を削りました  因果関係はありません

板はあらかじめドラムサンダーで3mm弱の厚さにしてあります

これに鉋をかけると、サンダーを通した面が如何にデコボコしているかよくわかります

鉋をかけなかったら均一な横隔膜にならないでしょうね

板の縦と横の弾力をチェックしながら鉋をかけていきます チェックをする道具は手です

そしてタップ音を耳で聴いて、ダイヤルゲージで板厚を計ります

鉋くずの厚みは20~30ミクロンぐらいでしょうか

重要なのは薄いことよりも、鉋くずが全幅で同じ厚みであることです

今回のギター用に2枚の板を候補として削りました 叩いた音は、一方は甲高く大きい音で一方はふくよかな音

ふくよかな方を家人は ”澄んでる” といいました ホンマかいな

さて、どちらに ?

正直、迷います 例のスペクトルでもとってみます



↓ こちら側に鉋がかかっています   ヨーロッパのスプルースは白くて絹のようです
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↓ 鉋くず  どちらでもいいのですが、別の鉋のくずを拾って撮ったようです(幅が狭い)
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