2009/05/27

バルベロ1951

図面をネット注文してから数週間も音沙汰がなかったので、やきもきしていたが今日届いた。

フラメンコギター。 マルセロ・バルベロ 1951年だ。
名手サビーカスが愛用したので有名だが、響板の裏には 「Carlos Montoya に献呈」 とある。

表はスプルース、側裏は糸杉。ブレイシングは写真のとおりで、これではわからないがブリッジ裏に薄いプレートが貼ってある。ハーモニックバーが傾斜しているのが特徴。
板厚を含む各所の寸法や細かい注釈も書いてあって、なかなか親切な図面である。いかんせん文字が判読しづらいが。

フラメンコにしては、かなりしっかりとした作りだとコメントしているが、図面を見ていると「なるほど」と思う。
たとえば、裏板のライニングは無垢のメープルを曲げて使ってたり・・・。

製作にかかるのはまだ先だが、すでに注文者と極めて綿密なるやりとりをしている。
あまたおられる製作者のなかから、HPを見ただけで自分を選んでくれるというのはなんとうれしいことか。
毎度のことながら、この感謝を作品で表現しなくてはと思う。

ところでこのギター、どんな音がしていたのか?
サビーカスの音源、探さねば。

craftm_M_Brbr_Sb.jpg
文字が読み取れるとまずかろうと、この画像にしています ↑


図面が入っていた筒  切手の中にはチッペンデール様式の椅子もありました ↓
craftm_M_Brbr_St.jpg
2009/05/24

HarpLute製作(その4)

S型のヘッド部にパーフリングを入れる。この場合、装飾以外の意味はない。

何を巻くか? 色は? こういうの、結構迷う。

結局、モノクロームのシングルヘリンボーンを採用。ロゼットのリングとお揃い。

ちなみに写真はヘッドの裏側。表も同じものを巻いている。
HpLt_Pfl.jpg


こちらはリュート部のネックおよびハープ部の支柱と表面板をくっつけているところ。
両者は根元で写真のようにローズ板で連結されている。
HpLt_SbGlT.jpg


上の写真の全景。
HpLt_SbGl.jpg





2009/05/21

HarpLute製作(その3)

裏板・横板になるパーツ (以下「リブ」と呼ぶ) の製作にはいった。

幾何学的にいえば不等辺12角錐台の半分を厚み2mmそこそこの板を接いで作ることになる。
CADで墨線が出せるので、そのとおり作るだけと思っていたが、なかなか手ごわい。
昨日も今日もずっとベニヤ板と格闘している。

それができた暁に待っているのは、云わばこの楽器作りのハイライト・・・それはこの角錐台のおしりに丸い底板をくっつける工程。
その丸い底板と7枚のリブが交差する様子はCADで容易に作図できるが、それを墨付け用の2次元図面にすることは不可能である。
(もし、丸い底板を「まっずぐに伸ばす」という機能がCADに備わっていれば可能だが)

つまり、現物合わせしかない。

Hplt_Lb_Stnd.jpg
写真上 : 7枚のリブを組み立てるスタンドです 敷いているのはガラス定盤

写真下 : 上のスタンドを使ってリハーサルしています
        リブはベニヤ板で、プリンタ出力を貼って切りました
        接ぎ面の角度は手押し鉋盤のフェンスを傾けて削りました
HpLt_Lb_Tst.jpg
将来、丸いボトム部に沿って底板がくっつきます
その底板は表面版に対して直角ではなく、15°ほど傾いているので大変なのです
2009/05/16

HarpLute製作(その2)

表面板を置いてみたら感じがでてきた。

2本のネック、右はギターそのものだが、左のはハープの柱に似ている。
そしてその2本をつなぐクネクネした部材がこの楽器のシンボル。

クネクネ部材はカエデ材の上に化粧板として「鹿子の木(かごのき)」を貼った。
残念ながらこの写真ではよくわからないが、バンビの斑点のような杢がきらきらしている。
これにパーフリングで縁取る予定・・・なんだが。

             注)この表面板、けっこう大きめに切っています
HpLt_Fr.jpg



口輪は依頼者の希望でギターと同じもの。
この楽器では、360°全周が丸出しになるので、なにかと手間取った。
実は2回もやりなおした。
HpLt_Rs.jpg



オリジナルのブレイシングは知る由もないが、作られた時代から考えるとおそらく数本の横バーと想像される。
それはそれとして、今回は依頼者の用途を考慮して写真の配置にした。
これにもう1本、タコ脚をまたぐクロスバーを加えるかどうかで、いま迷いに迷っている。

HpLt_Br.jpg
2009/05/14

HarpLute製作(その1)

ハープリュート(リュート ベンチューラ)製作の進行状況をこのBlogで紹介することにしました。

きょうは、ハープ側ポスト(支柱)上部の成型です。久々の木工旋盤作業です。

HpLt_Pst0.jpg

 ↑ 写真上  左の八角の材から旋盤で削りだします 栓の木です
         右の型紙(CAD図面を実寸で印刷)はヘッド部です  その下のカエデ板で作ります 

 ↓ 写真下  旋盤加工後です
         ヘッドとはこのようにホゾで接合されます
         なお、ホゾ穴は上の写真の状態の時に加工しておいて、
         その穴にダミー材(上の写真の薄赤い材がそうです)を詰めて旋盤にかけました

Hplt_pst1.jpg

次回はサウンドボードです。
2009/05/11

失敗するということ

初めておかすミスはどんな些細なことでも叱ってはだめだ。

ちょっと考えたらわかるでしょ! は絶対に禁句。

かといって 「誰にもあることさ」 って慰めるのはもっとよくない。

その失敗によって、なんぴとも確実に頭の中に抽斗(ひきだし)が増える。これを学習といふ。

せっかくの失敗、抽斗の中にビー玉が1つではもったいない。

仕切り板をいくつも設けて、それぞれに色やデザインの違うビー玉を入れることが出来る人は、頭がいいというかその仕事に適合している人。

未知の課題について、いわゆるじゅうたん爆撃的に力づくであれこれ試すのも一つの方法だが、今まで貯めておいたビー玉をうまく使うと「あらよっ」とうまくいく場合もある。

このときビー玉の多さ(と質の高さ)がモノをいう。そして今度は水晶の箱ができる。



と、他人にいうのはたやすいが、自分が失敗してみるとやっぱり凹む。

昨日は朝いちに ビー玉 がひとつ発生。

  「今日はやめとこ」 

一日ギターを弾いて過ごした。

2009/05/09

ジリオラ・チンクエッティのNON HO L'ETÀに涙したのは先日の日記。

こんどはシューベルツの「風」。Aから始まってG#mと続くスリーフィンガー。大昔、3000円で買ってもらったギターでいちばん最初に練習した曲。

さっきTVでちょこっとやってただけで、もう・・・アカンたれやなあ。まあ酒でラリってるのもあるが。

カラオケでも楽器でもこの曲だけは感極まってしまって途中でおかしくなる。ひとりでSAXを吹いてるときでも。はたからみればなんとけったいな状況か。

でもひょっとしたら人前だったらできるかもな - でも聴いている人は感動しないかも - 1回ぐらいいいじゃない、近々チャンスがあるのでやってみようかしらん。

汝の目前の壁を越えよ。
2009/05/05

フラメンコづいてきた

今年になって工房でいちばん多くかかるようになったのがフラメンコ。

ビセンテ・アミーゴは以前から聴いていたが、やっぱり純フラメンコ?のほうがいい。

まず、なんといってもギターがかっこいい。

それに優るとも劣らないのがカンテ。歌唱のことだが、歌というよりは、ある種の光を求める叫びったり、切なさだったり、愚痴だったり。こんなストレートな感情表現はほかにあるまい。
灼熱のアンダルシアを思い返す。氷の入ったガスパチョをもういっぺん飲みたい。グアダルキビール川を心ゆくまで眺めたい。

そんなとき、フラメンコギターの注文を受けた。いままではやんわりとお断りしていたのだが、ここにきて自分自身が作りたくなった。上記の影響だ。
コテコテのフラメンコギターというよりは、クラシックの味わいもあるようなというご希望だったことも乗り気にさせた。

フラメンコ風味のクラシックギター or クラシックギター風味のフラメンコギター

一度も作った経験はない。あるのはアンダルシアの空気を吸ったことだけ

手本は マルセロ・バルベロ 1951


2009/05/04

作品とは何ぞや

やっと図面ができた。これで製作にかかれる。

図を考えながら思うこと。

 「こんなことしたら 笑われるかな?」
 「こうしたいけど えらい時間かかってしまうなあ」

少なくとも自分がその製作物を「作品」と呼びたければ、その考えは敵である。

 「これでいい」 いや 「これがいい」
 「何か方法があるはずや」

「作品」に対峙するのは「商品」だとよくいわれる。

「商品」とは何と胡散臭い響きか。だって目的が目的だし、そのためにはみんないろんなことをする・・・

そんなもの作りたくない。


craftm_HpLt.jpg
2009/05/01

今日はお嫁に

スペイン語でギターラは女性名詞。

そのギターがきょう嫁にいった。

文字どおり白無垢の表面板に、サクラの木をベースにした口輪で化粧して、濃い紫のローズウッドの外套を羽織って・・・

このギターは外見の優しさとは逆に、中はいつもより気丈に作りあげた。

幸多かれと祈る。

詳細 : SE06 ES/IR-SIG