2009/03/31

ギターの中の要塞

今回、大きさの違うペオネス(接着ブロックのこと)を交互に並べました。

ロマニーリョスの講習で教わった方法です。どんなメリットあるのって? まあ、やってみなはれ。悪いことないから。

このペオネスの並びを見るたびに思い出すのが、スペインのアルカサール(alcazar 要塞)。

先っちょのかっこうがよく似ています。でもよう考えると他の国にもありますな。

この小さな木片、ギターの構造と音を永劫に守らんとする忠誠心あふれるナイトなんです。 

ケ ボニート!

craftm_SE06_Pns.jpg
濃い~膠 を 木片と 相手側の 両方に 塗布して すばやく ・・・・ 一日かかりました

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2009/03/29

めずらしいお客さま

旅するミュージシャン、ギタリスト、民族楽器奏者でその伝道者・・・というような多くの呼ばれ方をされる丸山祐一郎さんが、ライブコンサートで明日香村に来られたついでにこちらに寄ってくれた。
自分は初対面だが、家人の知り合い。(先だっての長野でのスキー教室でなんと丸山氏が先生だった)

ギタリストの奥様、木工・楽器(カホン)作家のYさん、そしてなんとロシアからの友人4人もいっしょだった。
丸山さんご自身も水カンリンバなどお作りになるので、まだ裏板が付いてない中身まる出しのギターを興味深げにご覧になっていた。

場所を母屋に移してティータイム。すると車からギターを2台出してこられて、嬉しいことにミニライブが始まった。
奥様とのギターデュオだ。

昔、ブラジルでボサノバ修行されたそうだ。
というとでまずは、イパネマの娘・黒いオルフェ。ほとんどがアドリブ。

続いては、シベリア鉄道の中で作ったという極めて美しいバラードや列車のリズムがモチーフのノリノリ曲、さらにはロシアのスタンダード曲・・・。
どの曲もイントロというよりもプロローグから始まってエピローグで閉じる。これがまたカッコいい。

 「もしよかったら私のギターでちょっと演ってみてくれませんか?」
 「もちろん!」

ボサノバ風の「千の風」をはじめいくつもプレゼントしてくれた。デュオの奥様も私のを使ってくれた。
大感激しながらも、冷静に聴いた。楽器がみるみるエンジンがかかってくるのがわかった。そういう弾き方だった。
このギターでこんな音がするのかと新たな発見。

カエデのギターを大そう気に入られたご様子。
 「こんなギターは初めてですよ、ぼくの音楽によくマッチするね」 さらに、
 「こんど奈良で演るときにはお借りしても?」
 「喜んで! よろしくお願いします」

何たって同姓のミュージシャン。もう忘れられません。
こんどの明日香ライブ、ちょっと楽しみ。


craftm_maru.jpg
前列左が祐一郎さん、そのとなりが奥さん
2009/03/27

足踏み

ここのところ寒い。足踏みしているのはサクラだけではない。

ギターの表面板と側板をくっつけるところで「待った」がかかっている。膠(にかわ)を使うから。
真冬ならガンガンに暖房を入れてヘアードライヤーなり何なりを使ってでも膠を使うが、春なのにと思うと二の足を踏んでしまう。
春分の日が過ぎてからは、いくら寒くてもコートは着たくないのと同じ心理かも。

一方、同時進行している十五弦琴は塗装前まできた。
目下の悩みは、この真白きヒノキとセンノキのボディに何を塗ろかいなということ。

コンセプトは渋さと品。
柿渋ベンガラの上にシェラックもしくはオイルもしくはカシューもしくはビーズワックスもしくは・・・・・・
そういえばカミサンがどこやらで摘んできたクチナシがいい塩梅に乾燥してきているので、この黄色を下地にしようかとも。
 (筆者注:膜接着に関してそれぞれ相性があるので実験要です)


 ↓ 工房前の一面の土筆-もう何度か食卓に
craftM_tsukushi2009.jpg
2009/03/23

十五弦琴に洗濯板導入

日本の筝や太鼓の内側には、あるパターンの彫り込み(自分は勝手に『洗濯板』と呼んでいる)があって、これで音に深みを出すと聞いた。
このTVを見ながら、いたく感動したのでさっそく十五弦琴に応用してみた。

栓のサイド板の内側に桐板をラミネートして、この桐に洗濯板を彫る。
ただし板全長にわたっては彫らない。これがミソ。
また高音サイドと低音サイドで彫る位置とピッチを変える。このあたりも筝作りのお知恵を拝借。

いろいろ能書きが多い楽器になってきたけど、どうなることやら。


 ↓ 現物  この段々模様は板に対して垂直ではなくて少し傾けている
十五絃琴サイド板内側
2009/03/20

十五絃琴

十五絃琴の表面板

ギター製作と同時進行している「十五絃琴」の響板部がようやくできた。

例によってオリジナル弦楽器である。依頼主の用途はひとことで云えば「邦楽」。

大きさは1尺1寸X2尺2寸で深さ2寸の矩形箱。響板材は木曾檜の柾。永く雨戸として使われていた古材。

大きくドーム状になっているのは裏側のブレイシングによるもの。そのブレイシングはラティス式(格子)である。

タップ音はギターのそれに比べるとすこぶる賑やかである。ちょっと祭りの太鼓を思い出したりする。

この上にS字形状の駒が横たわる。

スチール弦をということでそれなり強度設計にしているが、ぼくとしてはやっぱりナイロン弦か絹糸を張ってみたい。

調律はピアノの黒鍵の並びが基本だが、そのままダイアトニックも可能な設計にしている。



2009/03/18

ギター振動解析 1.sustainability

これまでは表面板にピエゾ素子を貼り付けて音を拾っていたが、今回は空中マイク(オリンパスLS-10)を使用した。人間の鼓膜の代用という考えだ。
サンプルは、いま製作中のギターで、表面板材は欧州スプルース、扇状力木は7本。
力木の断面は三角形、高さは3.0から5.5mm、表面板厚みは2.2から2.5mm。
表面板には力木7本のほかにサウンドホール周囲の補強板もすでに貼ってある。

<測定ポイント>
①力木断面を三角形に整形後
②力木のサウンドホール寄りだけ35mmスキャロップした後
③力木のボトム側も適宜スキャロップ後
④板の音程を調整するため力木の高さとスキャロップ開始位置を調整後

板への振動付与方法 : 板を吊り下げて一定距離から振り子によって板のブリッジ位置をたたく。

<結果>
①~④での測定結果が、それぞれ下のサムネイル画像の左~右

<結論>
力木の上端側、下端側とも適宜スキャロップすることにより、板振動の大きさと持続性が増大する。
  今回のデータによれば上端側は0~70msの間の振幅増、下端側はむしろそれ以降の振幅増に寄与するようである。

板の振動持続性と、楽器になったときの音持続性の関係については、概ね比例関係との報告もあるが筆者は未確認である。

☆今回は音の持続性(sustainability)についてのみ言及した(周波数強度の解析は次回に)


↓ グラフの縦軸は音の強さ、横軸は時間 : クリックで拡大
7Bar_beforeSclp_Sus.jpg
 7Bar_after_upperSclp_Sus.jpg 7Bar_afterSclp_Sus.jpg 7Bar_Last_sus.jpg
2009/03/17

春の日の花と輝く

朝から今年初めての、「ごろごろ水」を汲みに天川村へ。さすがに天川、まだ残雪があったのでびっくり。

きょうの目的は、その帰り道にある「広橋の梅林」だ。

いみじくも家人が「梅の吉野山やねえ」といったが、広さも眺めもまさにそんな感じだった。

桜よりいろどりが豊かで花の密度もたかい。サクラとウメに対するイメージが今日を境に逆転した。

ヒヨドリのけたたましさに交じって時折りウグイスの合いの手がメゾピアノで入る。

今年の春は何度もおいしそう。

帰宅してから、暖かいのでニカワ接着の作業をしていると、マイミクのGSDさんがいずれも40年モノの名器2台を携えて来房し楽しい時間を過ごした。

665mmの西国の楽器、いい音だった。

広橋梅林2009


広橋梅林2009


広橋梅林2009
2009/03/09

深みのある音

テレビで日本の琴(箏)作りを紹介していた。
立派な桐の丸太の樹皮側がほとんどそのまま楽器の表側の曲面となる。裏側は反り鉋でひたすら刳ることによってギターのように箱になる。
胴の厚みが一定ではなく音程によって差をつけるのもギターと似ている。

興味深かったのは、裏面(内面)に独特の細かい凹凸パターン(昔の洗濯板みたいな)を鑿で刻み込むこと。これによって音が乱反射して深みが出るのだそうだ。

コンサートホールを思い出す。というかパルシブな撥弦楽器らしい技術かも知れない。
そういえば欅の和太鼓の内側も確か洗濯板になってたっけ。

それを見てピンときた。先日試奏したあの味わい深いギターの表板・裏板のからくりと同じではないかと。

これはぜひ実験モデルで確認しなくては。
まずウラを取ってから?
いや、我国の古来の技術を素直に信じて GO! だ。
2009/03/06

腕より道具

いくつかの表面板接ぎが終わったので、今日から口輪作り。

今回からMAC社の口輪溝彫り用のルーターベースに組み込んだ自前のサークルカッター登場。
微調整機構がそのまま使えるのでなかなか便利。サブミリの精度が要る加工に十分対応してくれる。

そしてドレメルのミニルーターを装着しての本来の溝彫り。今まで何だったんだろうかと思うほど楽で短時間で済んだ。

次は寄木の埋め込み。
モチーフの金太郎飴を埋め込むとき、ふと棒のまま叩き入れてからノコで頭を切るという工法に気がついた。といえば大げさだが、これもけっこうな時間短縮。(写真下)

寄木を90°間違って入れそうになったが、わりと面白い・・・ような気がした。あしたちょっとやってみよう。


口輪円罫引き

口輪寄木勘合
2009/03/05

駅前のいいお店

奈良TVから送られてきた「気ままに駅サイト」のDVDをやっと見た。自分が出ているのにもう忘れかけていた。
いつものギター演奏シーン、ラグリマをやめて今回はソルの練習曲にした。それにしてもウマくない。
『適当に弾くからいいとこ録りしてネ』とディレクターに頼んでおいたのに・・・、どうやらいいとこはかいもく無かったようだ。

そのDVD、まず掖上駅前の散髪屋さんに入って当方のことを聞き出すという設定になっていた。
実はその散髪屋さん、今まで一回も行ったことがなくて屋号も知らんし、存在すらあやふやだったのに、店のご主人はきちんとこちらのことを案内してくれていた。


そこで、ごあいさつも兼ねてきょう散髪に行ってきた。

「こんちわぁ」
「あっ! いらっしゃいませ」
「どうも ・・ よろしくお願いし・・」
お互い初対面なのにそうじゃないみたい。

そしてたっぷり一時間。
むこうも意識したのか(そんなことないと思うが)ものすごく丁寧で優しかった。

店主の叔父上の作という、オール爪楊枝の姫路城とオール段ボールの法隆寺夢殿が少しホコリをかぶって飾られていた。
写真から図面を起こしたという。
ギター数台ぶんの手間と時間がかかっているのは必定。素人くささ皆無で気持ちがいいほど垢ぬけている。完璧。素晴らしい。
で、もう一人の叔父様も優れた彫金師と聞いて、ギターの糸巻きプレートでも彫ってもらおうと思ったら、
「もう90歳で・・・」

いちげんさんのつもりで行ってみたのに、
「また来ま~す、おおきに」