製作中のギター、フレット打ちの段階になった。ちなみに自分は比較的細めのフレットワイヤーを使う。
フレット打ち作業も作家によっていろいろだ。この作業のよしあしと、後の上面(うわつら)の平面出しは、弾きやすさに大いに影響する。特にセーハしながらの演奏で、音が出にくかったのがクリアーに弾けたりするのである。
さて、フレットワイヤーの脚には打ったあと浮き上がりにくいように「カエリ」の役目をするイボがついている。
しかし相手は何と云っても黒檀、しかも木口面に喰いこまねばならない。オリジナルフレットのまま適当な叩き具合ですんなり入るようだとそれは点で止まっているということで、木の変化を考えると甚だ気持ちが悪い。かといって強引にイボを喰い込ませようとするとぴたっと根元まで入らないことが多いし、ネックが逆反りしてしまう。
そこで、そのイボを適当量削り取る必要が生じてくる。イボをきれいさっぱり無くしてしまう作家もいるが、自分はほんの少しだけ残す。
この作業がけっこうまどろっこしい。今まで金工ヤスリでひたすらガリガリガリガリ。
通販で専用の道具も手に入ると聞くが、今回工房にあるもので考えみたの下のが写真。
ドレメルのミニルーターにプランジベースを付けて細目砥石で削り取るというもの。これで1分以内でギター1本ぶんのフレットワイヤーのイボ研磨が完了する。
写真では木片で対面を押さえつけているが、実は左手親指の爪のほうがコントロールが効きやすい。
もしギャップ調性可能なローラーでも対面に付けてパテント出せば、USAの某ギターパーツ屋が買ってくれるに違いない。
☆真似されるときはくれぐれも自己責任でお願いします。