2006/10/31

日本昔話のむら

craftm_soni061031.jpgほんとにいい天気が続くので、きょうは曽爾(そに)高原のススキでも見にいこうということになった。日曜日でも仕事をするかわりにウイークデーでも好きに出来るのがこの家業のいいところ。
実は同じ県内なのに曽爾村にはまだ行ったことがなかった。
山いちめんのススキはさすがに圧巻。地元の葛城山のそれより何倍も雄大だ。澄んだ空気で青空だったのでなおきれいだった(写真)。
そのススキが原よりも私は村そのものがなんともよかった。日本昔話に出てきそうな絵に描いたような山々の中腹からふもとの川沿いにかけて家々が散らばっている。その屋根は奈良県ではめずらしく滑り止め付きの瓦。秋がよく似合う平和なムラという感じ。こんなところで仕事が出来たらなあ、っていうと、お客さんに来てもらうのが大変よ、という声がした。ここで作ると家具なんかはきっと作風も変わるんだろうな。

2006/10/30

150年前のドスン

craftm_torr_SB.jpgすべてのパーツを接着・成型してサウンドボードが完成した。
いつもより板を極端に薄くしたのでタッピング(板を指でたたいて音を聞くこと)の音程も低いだろうと思っていたら、逆にちょっと高かった。2本の横棒(サウンドバー)を貼るまでは確かに低かったのだが。
センターの力木を削ってギリギリまで低くしたが目的の音程まで下がらなかった。サウンドバーの背が高いことが原因かも知れないが、これがトーレスの特徴だろうと思ってそのままにしておくつもりだ。

トーレスのギターをいくつか分解修理しているホセ・ロマニリョス氏によれば、『トーレスのサウンドボードはドスンと死んだような音がする』らしい。もちろん特定の音に極力共鳴させないためだ。
その音を実際に聞いてないのでなんともいえないが、今回のはどう聞いても「ドスン」ではないと思う。音程もはっきりしている。でもひょっとしたら「まだドスンにも達してない!」のかも知れない。ロマニさんに聞いてもらいたいものだ。

2006/10/27

どんな音がするかな

craftm_gobar.jpgテレ朝「人生の楽園」の撮影のとき、ディレクターさんがこのカットをわりと気に入ったみたいで、きっちりオンエアーされた。
ギター製作ならではの風景。力木という棒を表面板の裏に貼り付けているところだ。竹の弾力で押さえ込むというシンプルだが極めて合理的な方法。短時間で間違いなく目的が達成される。
今度のギターはトーレス研究という大儀のもと、おもいきって表面板の厚みもその当時のレベルまで削り込んだ。写真を拡大すると左右の周辺部の薄さがわかると思う。
指て叩いて音程を調べるとほぼファ(F)ということで、さすがにいつもより低い。響きも「グヮーン」というのが混ざる感じでこれもいつもと違うが、何となく板全体でまとまりはありそうだ。
これでギターサウンドのほとんどが決まるといわれるが、悲しいかな弦を張るまでわからない。この板の音をしっかり頭のROMに焼き付けておこう。

2006/10/23

永遠(とわ)のテーマ

craftm_headsander.jpg現代ギター誌今月号の表紙は村治佳織のポートレイト。そして毎号楽しみにしている『気になるギターをCheck it out 』」のコーナー、今回は常々お世話になっている松村雅亘さんのギターだった。松村さんといえばロベール・ブーシェに学んだことで有名だが、記事の中で「音作りのデッサンをしなさい。そのうえで色をつけて奥行きをつけて・・・音作りを。」ということが書かれている。画家でもあった師ブーシェのアドバイスだ。松村さんはこの「デッサン」ができるまで何年もかかっていると振り返る。
翻って、自分も既にギターを単なる木工細工の産物と思ってはいないが、音作りのデッサンとは何と崇高なテーマだろう。そして仮にそれができたとして如何にして自然木にフィードバックしていくのだろう? 「そんな法則も勝利の方程式もありはしないよ」ってブーシェさんに言われそうな気もするが。
春に訪れたブーシェさんの住んだモンマルトルを想い出した。きっとまた行こう。

さて、写真はギターヘッド部をサンディングで仕上げているところ。今回トーレスのデザイン。手にしているのは30mm厚のメズ型のサンディングブロック。内側にサンドペーパーを貼って垂直に動かします。

 
2006/10/19

大阪ウッドテクノロジーフェア 2006

場所はインテックス大阪。
数年前の木工フェアに比べると規模が小さい上に大型機が中心だった。前回のようにノミや鉋、ノコの掘り出し物を期待したがみごとに皆無。そんな中でも面白かったのは、多くの大学の展示。例えば京大の曲げ木の実演とか、府立大の木質をアセチル化した表面板(スプルース)を使ったマンドリンの展示、大阪芸大の木の作品などなど。
また本場米国でも話題を集めてきた「指を切断しないテーブルソー」の実演ではやはり人だかりが出来ていた。
収穫は、オーストリア製の木材水分計を2W借用できる話しが出来たこと。
最も驚いたのは、専門校家具工芸科時代のクラスメートのブースがあったこと。本人(Sさん)がアテンダーとなって自分の作品(木工と金工をミックスした豪快なものと刳り物)を販売していた。「もういくつか売れたよ。丸山さんも買ってよ。安くするから」とあいかわらずだった。あと3日あるので少なくとも出展費用は回収してくださいませ。

2006/10/16

リファレンスモデル

craftm_TRR_rose.jpgはじめてのトーレスのモデル、あの「ラ・レオナ」にならって美しい縮み杢のメープル(カエデ)にしようかとも思ったが、今後のリファレンスということでスタンダードなインディアン・ローズウッド(裏板と横板のこと:写真)をチョイスした。
ネックは先日広島から仕入れた20年モノというホンジュラスマホガニーをさっそく使った(写真上側:ヒール部を接着中)。
そしていちばん肝心な表面板(サウンドボード)。もちろんドイツ松だ。ただその厚みをトーレスのレベルまで薄くするかどうかちょっと迷っている。

2006/10/13

これに集中

craftm_Torres.jpgこれからの半年、温湿度が低い期間はギター作りに専念することに決めている。工房でいうところのギターモード。
今シーズンのモチーフ、ここ数日熟考した結論は「アントニオ・デ・トーレス」。大きなテーマなので今シーズンで終わらないかもしれない。
あるだけの関連資料を引っぱり出して作戦を練っているが、それを勉強するだけでさらに数日はかかりそう。全くのフルコピーを作るか、はたまた自分の考えをどう入れ込むか? あるいはその両方? ということになると思う。

ところで、来年のホセ・ロマニリョスのスペインでの製作講習会を申し込んでいて、「近日中に資料を送るよ」ってメールが来た。これで採用されたのだろうか? 日本人がギターを作るっていうのは、スペイン人が三味線を作るようなものなので少なくとも現地の空気ぐらい吸ってこなけりゃと思っている。
2006/10/12

あとは塗るだけとはいうが・・・

craftm_PB_precoat1.jpgシイの木の実のなかでもスダジイのドングリは食べられる。去年も今頃食べた。もちろんビールのツマミで。今年はシイの実飯でも作ってもらおうか。
くだんのパレットベンチがようやく組みあがった。まず座板の穴に丸箸で接着剤を塗っては一本づつスピンドルを差し込んでいく。全部差したら、バックレスト(背板)の穴に接着剤を塗ってスピンドルをはめこんでいく。こうすれば接着剤はほとんどはみ出ない。ただ人力ではバックレストの嵌め込みは不可能で、うかうかしていると接着剤が乾いてホゾの途中でニッチモサッチモになったらドえらいこと。今回は強力なポニークランプをあるだけ使って徐々に締めていった。
ということで後は塗装。依頼者のご希望を承らなければならない。一般的に赤味の材は着色が難しいとされる。このレッドアルダーもそんな感じだが、なんとか水性の顔料ステインでサンプルを作りだした。
2006/10/10

サンディングの後が大変

craftm_PB_englv.jpgわがやの月見は文字どおり月を見るだけである。今年はものすごく蒼くてクリアーだった。そのお月さんを見ながら、なぜかこんな季節まで楽しませてくれるタイガースに感謝した。

パレットベンチは座彫りが終わった。ルーティングのあと四方反り鉋で感じを出していく。そして仕上げは「リョービのマイサンダー」を鉋と思って均していく。
扉や窓は全開にして防塵マスクとメガネと帽子をかぶっておこなう。サンディングすると工房じゅうが真っ白になるのであとの掃除がたいへん。たいていはその次に塗装がくるのでなおさらキレイにしておかないと。今日も例によってエアーガンでシューシューしては掃除機でスースーするのを何回も繰り返した。粉塵の出ないサンダーがあればいいと思うけど、ハンドサンディングでも同じぐらい粉が出るのでどうしようもない。ギター塗装のことも考えてサンディングブースでも作るか。

 
2006/10/08

スピンドルが納まった

craftm_PB_sp3.jpg単純作業の繰り返しを18回やってようやくスピンドルが完成。旋盤のときサンディングもしてあるので、スピンドルについては塗装まで何もすることがない。
一方、くねくねした背板も予定通りスカーフジョイント(木口を斜めにカットしてつなぐ方法)してからバンドソーで切り出した。そのあと座板と同じ方法でテンプレートを使ってルーターでフラッシュサーフェイシング。このときのテンプレートにはスピンドル穴の中心も印してあるので、これをもとに座板と背板にΦ21mmの穴をあける。ボール盤のちっちゃな定盤ではかいもく安定しないのでボール盤を床に置いて、定盤と同じレベルの台を用意して作業した。
上下の穴がうまくセンターが通るかどうか心配だったが、写真のように問題なく納まったのでホッとする。今回は垂直穴だったので楽に精度が出せたのかも。
あとは座面の彫り込みと背板の面取り、全体の木地仕上げ、そして塗装。